社会保険労務士(社労士)の青山中央社労士法人

【お知らせ】メールマガジン第18号を発行しました。

2014-06-30

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本日クライアントの皆様へ「JSK青山中央社会保険労務士法人 メールマガジン 第18号(最新号)」を発行しました。ご覧いただいた皆様、いかがだったでしょうか? JSK青山中央社会保険労務士法人のメルマガは、クライアント限定で、クライアントの皆様の顔を思い浮かべながら、自分たちの言葉でわかりやすく旬な話題を解説することに留意しております。今月は橋本が執筆しました。

本HPの【お知らせ】には、先月のメールマガジンを参考までにアップすることにしております。(最新でないのでご参考程度に、また、添付ファイルと表参道カフェテラスは外しております) クライアント限定のメルマガの読者が増えていくことは、当社労士法人の励みになります。貴社とご縁頂けることを心待ちにいたしております。

 

顧問先各位

JSK青山中央社会保険労務士法人 メールマガジン 第17号
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トピックス
■ 2年後を見据え、パート契約を考える
-短時間労働者への社会保険の適用拡大に備えて-
■「労働時間法制の見直し」をめぐる最近の動向
■ セカンドライフプランと地域デビュー
■ 定年後の契約-有期と認められず、雇止は無効(東京地裁 平26.1月)
~ブーランジェリーエリックカイザージャポン事件~
■ 表参道カフェテラス
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JSK青山中央社会保険労務士法人の橋本桃子です。
このところ、アベノミクスの影響(?)か、弊社でも新しい案件のお話をいただ
くことが多く、充実した日々を送っております。週末はのんびり過ごすことが多
いのですが、初夏の気候に誘われて、少し体を動かしたくなってきました。今週
末は初めてSUP(スタンドアップサーフィン)にチェレンジするつもりです。

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■2年後を見据え、パート契約を考える
-短時間労働者への社会保険の適用拡大に備えて-
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平成24年の法改正により、平成28年10月から短時間労働者に対する厚生
年金・健康保険(以下、社会保険)の適用が拡大することとなっており、現行の
適用基準で適用となる従業員数が501人以上の企業が対象となります。
施行まで2年以上ありますが、改正に伴い、パートタイマーの契約の見直しを検
討する企業もあると思いますので、今から対応を検討しておく必要があります。

現行の社会保険の適用基準は、労働時間と労働日数がそれぞれ一般社員のおおむ
ね4分の3以上(所定が週40時間の会社では、週30時間以上)です。
適用拡大では、以下の4つの適用基準を満たす者が新たに社会保険の被保険者と
なります。
①所定労働時間が週20時間以上
②月額賃金8.8万円以上(年間106万円以上)
③勤務期間1年以上
④学生でないこと

この要件からすると、特に、週20時間以上30時間未満のパートタイマーが多い企
業は大きなインパクトを受けることになります。社会保険の適用拡大により、こ
れまで受けられなかった保険給付(出産手当金や傷病手当金など)を受けられる
メリットもありますが、労働者個人にとっても、企業にとっても、社会保険料の
負担は大きく、企業に経営上の重要な影響を与えます。

企業の対応としては、短時間労働者の数を厳選して一人あたりの労働時間を増や
すことや、逆に週の所定労働時間を20時間未満にするなどが考えられますが、特
に所定労働時間を短くする場合には慎重な対応が必要です。雇用保険の適用が週
20時間であることを考えると、例えば25時間の所定時間を19時間に変更すること
は、収入の問題だけでなく、退職後の失業保険を受けることができなくなり、労
働者にとって重大なセーフティネットを失うことになります。施行直前に急に契
約時間を短くする等の対応はトラブルにつながるおそれがあります。そういった
ことを避けるためにも、これから雇用する者については施行後の適用条件を踏ま
えたうえで契約をする、また既に雇用している者については更新時などに十分な
個別の話し合いを持つなどが必要だと考えます。また、企業側が保険料負担をい
とわない場合でも、手取り収入の減少をきらった労働者側から、時間を短くした
いという要望が出ることも考えられます。したがって、労働時間の変更を予定し
ていない場合でも十分な説明をしておくことが大切です。また、501人以上の企
業が対象となるのは、「当分の間」の経過措置ですので、それ以外の企業におい
ても、今から検討しておいて早すぎるということはないでしょう。検討する過程
において、社会保険料の負担がどの程度になるのかは企業にとって重大な関心事
です。必要があれば簡単な試算を行いますので、お気軽に担当者にお申しつけく
ださい。

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■「労働時間法制の見直し」をめぐる最近の動向
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◆「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入?
安倍政権が成長戦略の策定や改革実現のために設置した日本経済再生本部の下に
設けられた「産業競争力会議」では、「ホワイトカラー・エグゼンプション」の
導入が検討されています。
ホワイトカラー・エグゼンプションについては、2006年に規制緩和策の中に盛り
込まれ、2007年に法案提出の動きがありましたが、与党内でも導入を懸念する声
があり見送られたという経緯があります。
現在、6月に改訂する予定の安倍政権の成長戦略に盛り込むことが検討されてい
ますが、長時間労働を助長させるものとして反対する声も多くあり、先行きは不
透明です。

◆中小企業の残業代割増率が引き上げられる?
2010年4月に施行された改正労働基準法により、従業員数300名以上の企業の1
カ月の時間外労働時間が60時間を超えた場合の割増賃金の割増率は50%以上とさ
れていますが、中小企業については適用を猶予し、3年をめどに改めて適否を議
論することとされていました。
このほど、政府は中小企業についても割増率を引き上げる検討に入り、2015年の
通常国会に労働基準法の改正案を提出し、2016年4月からの施行を目指すとの報
道がなされました。
割増率が引き上げられれば、企業の人件費負担が増す可能性がありますが、運送
業のように残業時間を減らしにくい業種については、助成金等の措置も検討する
とされています。

◆「働き過ぎ対策」の検討
上記の産業競争力会議では、ホワイトカラー・エグゼンプションのほかに「解雇
規制の見直し」や「配偶者控除の廃止」等、企業や従業員の生活に大きな影響を
及ぼす事項が検討されていますが、またこの他に、「法令の主旨を尊重しない企
業の取締りの強化」も検討されています。
具体的には、ハローワークの求人票に従業員の定着率や残業時間数の記載を求め
たり、労働基準監督署の人員を増強したりすること等が挙げられています。
企業としては、今後もこれらの動きに注意を払っておく必要があるでしょう。

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■       セカンドライフプランと地域デビュー
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年金の支給年齢の引き上げ等に伴い、現在は、定年は60歳以上で原則65歳までの
継続雇用が義務づけられていますが、20年ほど前までは55歳定年の会社も珍しく
ありませんでした。
仕事中心の生活で、地域との接点が少ない人にとっては、退職後、いわば地域デ
ビューする年齢がだんだん遅くなっていると言えます。子供や親戚がいても、す
ぐ近所でない限りは、なかなか当てにすることもできません。日常の頼りになる
のは、何と言っても地域のコミュニティです。高齢になって連れ合いを亡くした
りすると尚更です。人間関係は一朝一夕には築けません。そのためというわけで
はありませんが、日頃から挨拶を交わし、地域の活動に協力したり、よき高齢者
として、地域に溶け込み、愛される人になれるよう心がけることが必要になって
きます。
退職に向けた社内研修を実施している会社でも、主に年金、保険やマネープラン
といった内容が中心のことが多いようです。社員の退職後の幸せな人生のために
は、「地域に貢献して、人間関係を構築しておく」という視点を強く打ち出し、
社内研修でも取り入れていきたいものです。

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■       定年後の契約-有期と認められず、雇止は無効(東京地裁 平26.1月)
~ブーランジェリーエリックカイザージャポン事件~
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定年の満60歳時に所定の手続きをとらず、継続して雇用していた有名パン店の
マネジャーの定年年齢1年後の雇止めについて、本件雇止めは無効との判決があ
りました。

判決では、就業規則に定める1年の有期雇用契約が締結されたとは認められず、
また仮に1年の有期雇用契約であったとしても、定年後の継続雇用制度の趣旨か
らすれば更新の合理的期待があり、本件雇止めは相当性を欠くとされました。

この事件は定年再雇用時の契約にかかるものですが、アルバイト契約などでも、
いざ契約を終了するという段になって、それまでの契約を見直してみると、更新
を正しく行っていなかったというケースが散見されます。また、本社勤務分は整
備されていたが、ショップのアルバイトの契約書には目が行き届いていなかった
ということもあります。
有期の雇用契約書では、更新の要件が記載されていますが、その要件に合わずに
契約終了をする場合でも、契約書がないために人事担当者が苦労するということ
もありますので、雇止めに至る前の平時にこそ見直しておくとよいですね。

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