未払い賃金問題
=よくある4つの類型=
労使トラブルで最も深刻なものの1つが未払い賃金の問題です。未払い賃金には大きく分けて4つの類型があります。心当たりある事業主の方は、JSK青山中央社会保険労務士法人までご連絡ください。解決策を一緒に考えます。
1. 基本給に「残業代込み」のケース
残業代を払う気持ちはありますが、いちいち残業代を計算するのが面倒ということもあって、残業代込みで○○円と決めて了承を得たりしています。しかし、具体的に残業時間は何時間分を含んでいるとか、残業代として○○円を含むとかを明確にしていないケースがあります。残業代を固定で払うのを固定残業制と言いますが、固定部分を明確に就業規則、労働契約書に明記し、給与明細書にも明確にしておかないと、トラブルが発生します。
労働基準監督署の調査で指摘を受けた場合、明確にしていなかったばかりに残業代と思っていた部分も所定労働に対する賃金と認定され、時間単価が上がったうえに最大過去2年間の実残業代の支払い命令が出されます。もちろん、固定残業制の場合でも、固定の残業代を超える部分は、超過残業代として支払わなければならないことは言うまでもありません。
2. 制度の誤解によるケース
(1) 裁量労働制
専門業務型裁量労働制は、導入できる業務が決まっていますが導入できない営業職などに対して裁量労働を適用しているケースが目立ちます。また、裁量労働であっても深夜の割増賃金や、休日の労働は実労働時間に対応した賃金を別途支払わねばなりません。なお、裁量労働制は、労使協定が必要で労働基準監督署に提出して初めて制度運用ができます。未提出の場合は法律に抵触します。
(2) 事業場外労働のみなし労働時間制
この制度は、労働者が労働時間の全部又は一部を事業場外で労働した場合において、労働時間を算定することが困難なときは、原則として「所定労働時間労働したものとみなす」(労働基準法第38条の2)というものです。しかしながら、実際は労働時間の算定ができる場合でも営業職など一律にみなし労働時間制とする会社もあり、トラブルの原因になっています。携帯電話が普及した今日では、事業場外労働のみなし労働時間制をとれる余地は少なくなっているというのが労働基準監督署の考え方です。
(3) 振替休日と代休
休日出勤した場合は代休を取得できるという制度を設けている場合の多くは、事後に休日を与える「代休」と、予め休日を振り返る「振替休日」を混同して運用しているようです。代休が取得されず、代休がたまっている会社はその分未払いである可能性が高いです。
3. 「隠れ残業」が発生しているケース
休憩時間が実際は十分取れていなかったり、残業を黙認しているのに残業代の申請がなされていなかったことを理由に支払われなかったりと書面上は法的に問題ないにもかかわらず、実態では未払いの残業代が発生していることは少なからず見受けられます。
4. 残業代を払うという概念そのものが欠落しているケース
さすがに、こうしたケースは少ないのですが、残業代を払う概念が無いような会社が多い業種というのがあります。そうした会社の経営者は、自分も以前残業代が出ない会社に働いていて、独立してもこの業界は、そんなものと考えています。競争の激しい世界にあって、雇用を維持するのでも大変。給料分働いてもらえず、むしろ教えてやっていると考えている場合もあります。
JSK青山中央社会保険労務士法人は、トラブルを未然に防ぐ頼りになる社会保険労務士法人です。